ツイン・ピークス生活 45日目 『The Return 第14章』自分は作り話の登場人物と勘づき始めている?
ツイン・ピークス生活 45日目
The Return 第14章 私たちは夢見人のよう
〈ネタバレを含みます〉
↓昨日の記録↓
The Return始まって以来(いや、ツイン・ピークス始まって以来)最も訳のわからない、前衛的だったエピソードはずば抜けて第8章だったと思うが、今回の第14章もそれに次いで色々と不可思議な事象が起こった回だった
オリジナル・シリーズとThe Returnでその雰囲気・味わいにかなり違いがあるようには常々感じている。その違いはTV番組としての縛りがなくデヴィッド・リンチが好き勝手作れる製作状況や25年の月日など色々と考えられるが、最大の要因は「軸となる筋がない」ことにある気がする
『ツイン・ピークス』も脇道に外れた町人たちの小話がかなりの割合を占めてはいたが、少なくとも絶対的な主人公であるクーパー捜査官がいた。彼の話を主軸としてそこに町人たちの話が紐つけられていくという作りだった
だがThe Returnに入ってからはご存知の通り、クーパーがいない。背骨がないまま14話が費やされてきた。その背骨がない状態をどう受け取るかは色々だとは思う。毎回どこに注目して見ればいいかもよくわからず、どこの部分が後々重要になっていくのか検討もつかない。ドラマとしては非常に見づらいのも確かだ。
だが、それはそれで独特な味わいもある。連作短編に近い面白さだ。
全く関係ないように見える短編郡だが『ツイン・ピークス』という一冊の本に収録されている。なんらかの意図、関連があるからこそ収録されているはずであり、それを意識することで繋がりを探すように見るようになっていく。
そういった作りとしては、この第14章がピークと言える。いくつかの関連性のないシチュエーションが、はっきりと関連した物として繋がってきた。
まずはFBIチーム。青いバラ計画の名前の由来となった事件について語られる
青いバラというのは一人の女性が死際に放った「私は青いバラのよう」という言葉から来ている。その女性が死ぬまでの顛末がこの物語の核心に迫っている。
1975年、ダフィーという女性を逮捕しに向かったデヴィッド・リンチ演じるゴードン・コール捜査官とデヴィッド・ボウイ演じるフィリップ・ジェフリーズ捜査官。部屋に押し入るとダフィーは撃たれた直後でその言葉を発した。しかし撃った相手もまたダフィーだった。撃たれたダフィーは息絶え、その部屋から消えた。
典型的なドッペルゲンガー話だが、今のクーパーを取り巻く状況と非常によく似た話。つまり、今の二人のクーパーの行き着く先はどちらかがどちらかを殺すというところに落ち着くことも暗示されている。
ついでにバックホーンの死体の中から発見されたメモについてダイアンに問責すると意外な答えが。メモに書かれていたダギーはもちろんラスベガスのダギーことクーパーだが、その妻ジェニー・Eはダイアンの親違いの妹だという
リンチ組の二大女優が姉妹なのか、なんて豪華なんだ
ここに来て、一つだけ矢印の方向が定まっていなかったダギーのエピソードにも進展があるだろう。FBIはツイン・ピークスへの座標とダギーの居場所を知った。あとはダギーを連れて、ツインピークスにいくだけだ
その過程でゴードンがその日見た夢について興味深いことを言っていた
夢の中にモニカ・ベルッチが出てきて(本人!)自分たちは夢の中の人物のようなものだという話をする。そこで『ローラ・パーマー最期の7日間』の前半でフィリップ・ジェフリーズが一瞬だけ現れたことの記憶が蘇る。
ゴードンは「自分たちは夢の中の人物のようだが、この夢は一体誰の夢なのか」という旨の発言をする。
先日、オードリーも似たようなことを言っていた。
ここにきて「この話は作られた物語なのではないか」と勘づき、メタ的な発言をし始める登場人物が出てきている。一体これはどういうことだ?
ツイン・ピークスでは少佐の指示通り、森の中のジャック・ラビットの宮殿とブリッグス父子が呼んでいた場所へと向かう保安官御一行。そこで目のない女性を発見する。その直後、FBI一行がバックホーンで経験したように異世界の扉が開き、あろうことかアンディが吸い込まれる。そして第8章で登場したモノクロのお屋敷のような空間へ飛ばされ、巨大な男と遭遇。巨大な男は「I am Fireman(私は消防士)」と名乗り、アンディは第8章で視聴者も見たよくわからない映像を接種させられ現世に戻される
この女は誰だ?
警備員をしているジェームズは新入りのイギリス出身の青年と話す。彼は右手にゴム手袋を常につけている。そうなった経緯を聞いてみると、ある日空に浮いて異世界へ召喚。そこで「I am Fireman」と名乗る男に会い、ホームセンターでゴム手袋買って装着し、ツインピークスへ迎えと指示されたという。アンディと同じシチュエーションだ。
彼がここに来た意味は?そのゴム手袋がなんの役に立つ?
ロードハウスではいつものように若い人たちが話をしている
ここでは消えたビリーの話だ。話している一人の母親がティナだという
オードリーが必死に探しているビリーだが、こいつは一体誰なんだ?そしてどういう風に他の話に関係してくるんだ?
あっという間にThe Returnもあと4話で完結だ
そろそろ散らばった話がまとまり始める頃かもしれない
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