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ツイン・ピークス 49日目 『The Return 第18章』本当の本当に最終回。これは一体、誰の物語だったのか

ツイン・ピークス生活 49日目

The Return 第18章 君の名前は?

〈ネタバレを含みます〉

 

↓昨日の記録↓

issee1.hatenablog.com

 

 

今日でいよいよ本当の最終回だ。今まで長かったような、短かったような。

毎日ツイン・ピークスを見ることが日常になっていたので、それがなくなってしまうのが寂しい…

 

昨日が正しく大団円といっていい、ツイン・ピークスという物語を締めくくるにふさわしいエピソードだった。あまりに感動的で涙を流した。

しかし、その部分はどちらかといえばリンチ的というよりは正統派であるマーク・フロストの功績による部分かもしれないと思う。いよいよ逃げ場なしの完結を迎えるにあたり、25年間離れずに見てきた人たちが納得できる直球のエンディングを用意してくれのではないか。今までリンチ好き放題っぷりを見せつけられていたのも、その直球な展開が スッと入ってくる大きな要因となった

 

そういう意味ではツイン・ピークスの最終回は昨日の第17章だったと言ってもいいかもしれない。今回の第18章はエピローグだ。

つまり、もはやツイン・ピークスという物語も飛び越えてデヴィッド・リンチの好き勝手っぷりも最高潮に達する

 

昨日のクライマックス、絶対に叶うことはないがクーパーがずっと望んでいたことがついに果たされた。彼が出会った時には既に死体と化していたローラ・パーマーの救済だ

あの事件の日にタイムスリップしたクーパーは死地へ向かうローラに手を差し伸べる

その後、ローラは消える

 

そこから始まった今日はオリジナル・シリーズの最終話と同じく赤い部屋を迷走するクーパーを見せられる。この前はそのまま25年間も幽閉されることになったが、今回はすんなりと出れる。出た場所は例の入り口だ。

その入り口の側に昨日解放されたダイアンが待っている

 

そこからしばらくはクーパーとダイアンのロードムービー

今回は全編ロードムービー

リンチの作品では大体が一つの街の狭い範囲(2ブロック程度)の中で起こる作品(『イレイザー・ヘッド』『ツイン・ピークス』『マルホランド・ドライブ』など)だが、次に多い題材がロードムービーだ(『ワイルド・アット・ハート』『ストレイト・ストーリー』)

そして大抵の場合、デヴィッド・リンチにおける旅は心の旅路である

 

カイル・マクラクランローラ・ダーンというデヴィッド・リンチの化身で二人が同一のショットに収まっていることはやはり感慨深い

二人が共演した『ブルー・ベルベット』からは30年の月日が流れた

クーパーとダイアンという役も超えて、実際のカイル・マクラクランローラ・ダーンに見えてきてしまうし、撮る側も演じる側もそういう気分なんじゃないかという気もしている

 

クーパーは二つに分裂して一つに戻ったが、カイル・マクラクランローラ・ダーンの二人はまさにデヴィッド・リンチの化身として今まで映画に出てきた

この二人は一夜を共にし、文字通り一体になる。真の統合が図られた。

 

クーパーの目の前からダイアンが消え(一体となり)、クーパーはある人物を探しにいく

 

道すがら「ジュディのコーヒーショップ」という店を見つけ入る

フィリップ・ジェフリーズはブラック・ロッジの親玉であるジュディと出会うと予言していたが、いったいジュディとはなんだったのだろう

全ての因果の原因だったローラ・パーマーがジュディなのだろうか

 

そのカフェでも色々と悶着があるが、そこでお休みをしていたウェイトレスの住所をクーパーは聞き出す。そしてその住所へ赴くクーパー。

そこで衝撃的なことがまたも起こる

 

ドアを開けて現れたのはローラ・パーマー。いや、シェリル・リーというべきか。

 しっかりと25年分の年を取ったローラだが、別名を名乗る。

クーパーが過去改変したことでローラが生存する世界線が生まれたということなら納得ができる。だが、そもそもローラ・パーマーの存在事態が消失するというのはどういうことなのか。

 

クーパーは彼女をツイン・ピークスへ連れて行こうとする。そうすることでローラの記憶が復活すると期待する。

ローラ(仮)も諸事情があって街を出なければならないらしい(部屋には頭を撃ち抜かれた男の死体)

 

そこからツイン・ピークスへの旅が始まる

ほとんどのシーンが日が落ちてからのドライブだ

何もない真っ暗なハイウェイに車のヘッドライトの届く範囲だけが照らされている映像

このイメージはデヴィッド・リンチの作品では頻出する

確かインタビューで本人は、これは心の深層へ入っていくイメージだと語っていた

 

クーパーとローラは深層へとどんどん進む

そして辿り着いた場所がツイン・ピークス

 

ローラのかつての家を訪れ、母親のセーラを訪ねる

だが、そこにもまた別人が住んでいた

 

なんだ?そもそもローラ・パーマーは存在しないのか?

全てなかったことになってしまったのか?

 

だが、ローラ(仮)の中に「ローラ」と呼ぶ声が聞こえる

次の瞬間、家がビカっと光停電。

ローラは絶叫する

そして暗転

 

こうしてツイン・ピークスは終焉を迎えた

 

 

果たしてツイン・ピークスとはなんだったのか

劇中でも言及されていた「通り沿いに住んでいた少女の物語」だったには違いない。そしてローラによく似たあの女性の中で確かに存在していたようだ

 

ツイン・ピークスというのは潜在意識にある心の原風景なのかもしれない

そこで繰り広げられたローラ・パーマーの物語は無意識で紡がれた、ある種の夢なのかもしれない。はたまた、この最終話で描かれたあの女性の物語がローラ・パーマーの作り上げた物語かもしれない

 

もしもツイン・ピークスが誰かに作られた物語だとすれば、クーパーとは何者だろうか

彼はその物語の作り主にとっての導き手かもしれない。クーパーにとっての巨人に近いのかもしれない。

 

 

オープン・エンディングの作品はある。

だが、このツイン・ピークスのように全48話+劇場版の全ての時間が開かれた作品はないのではないか?

大抵の映画は作り手の意図やメッセージが必須で、それを伝えるために趣向を照らす

だが、リンチの場合はもっと純芸術的だ。

まるで絵画を見るように、彫刻作品を見るように、そこになにを感じとるか、どう解釈を与えるかは鑑賞者に委ねられている。

それが50時間にも及ぶ大作として、25年の月日をかけて完成された

今までもこれからも、これは唯一無二の偉業となるだろう

 

オリジナルシリーズからは30年遅れ、The Returnからも数年遅れになったが見てよかった。そして終わってしまうのが名残惜しい…

 

夢から覚めるのは哀しいものだ、それが悪夢であっても

 

 

 

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