ツイン・ピークス生活 39日目 『The Return 第8章』訳わからなさがMAXに達する1時間の実験映画
ツイン・ピークス生活 39日目
The Return 第8章 火は あるか?
〈ネタバレを含みます〉
↓昨日の記録↓
この第8章は実質、ストーリーはない。
いつものメンツは全くといっていいほど登場しない1話だった。
唯一ストーリーがあるのは冒頭部分だけだが、それもそれで中々衝撃的。
前回、あっさりと刑務所を脱獄した悪クーパー。本来の目的だった仕事仲間のレイもついでに脱獄させた。そういえば悪クーパーはこのレイに依頼していた座標情報に執着していたんだった。
だがレイは悪クーパーの殺害命令も受けており、悪クーパーもそれはわかっている。だからレイが何か目論んでいるのも見抜いて撃退する、と思っていたら
悪クーパー、あっさり銃殺された…
こっから先ははっきりとしたストーリーもなくなる
50分間の実験映画と言っていい代物で、これを説明したり論理的な考察を試みたところでどれほどの意味があるのか…。ただ、それはそもそも、デヴィッド・リンチ作品全体に言えることでもある。この人ほど作品の論理的説明が似合わない人もいない。そしてもし仮に説明ができたとしても、それにどれほどの意味があるのか。特にこの実験映画的なアプローチの部分に関しては意味がわかってどうこうというよりは、見たときの感覚・印象こそが全てな気がする。だから、見るのが一番。
とはいえ後々になって「実はあそこが重要だったのか!」ということがこのシリーズでは多々あるので、できる限り記録しておこうと思う。
悪クーパーの死体に群がってくる全身真っ黒な汚いおっさんたち。地獄の餓鬼のようなイメージだが、この真っ黒な汚いおっさんって『マルホランド・ドライブ』にも出てきた。その辺の繋がりはあるのだろうか。そしてクーパーの中から殺人鬼ボブを取り出す。
その後、ツイン・ピークスのロードハウスでのライブの映像が挟み込まれたあと、画面は急にモノクロに。こっから先はずっとモノクロなので、できるだけ暗いところで見ないと真っ黒に見えてしまうかも知れない。
急に起こる核爆発。おそらく核実験の様子と思われる。
その爆煙へとカメラは寄って行き、しばらくの間よくわからないモヤモヤとした映像だったり、ノイズのような映像が続く。
そして古いコンビニエンスストアの周りをさっきの黒いおっさんたちがウロウロしている様子をコマ撮りを一旦バラバラにして再構成したような映像で見せられる。
そういえば片腕の男が初登場した際に「コンビニエンス・ストアが云々」と言っていた。意外とあそこが重要な場所だったりするのだろうか。
場所は代わり、広いお屋敷のようなところに。そこいはオペラ歌手風な女の人と例の巨大な男がいる。場所は第3章に登場した部屋によく似ている。
巨大な男が『サンセット大通り』よろしくの巨大ホームシアターでさっきの核爆発からコンビニの映像を見返す。すると巨大な男は空中に浮き上がり、頭から光のようなものがボヤボヤボヤと抽出される。金色の光は一つの球体になる。またも金玉が登場した!この金玉の意味はなんだ!?しかも今回の金玉にはローラ・パーマーの顔が浮かび上がる。
特別な機械でその金玉はスクリーンの中の地球へと送り込まれる。やはりクーパーが地上に戻った時と同じような性能の部屋と考えて良さそうだ。
その金玉は1956年のメキシコの砂漠に落ちる。
卵に変身していて、中から昆虫とカエルをミックスしたような生物が誕生する。
近くの街ではまたも黒い汚いおっさんが大量発生。今度は町の人の頭を掴んで握力で握り潰していく。その中の一人が発する「火はあるか?」という台詞が今回のタイトルにもなっている。
汚いおっさんは地元ラジオ局を襲撃。DJを押さえ込み、ブースを占拠。
「これは水だ。そしてこれは井戸だ。たっぷり飲んで、中へ降りろ。馬は白目だが、中には闇を持っている」と何度も繰り返す。
それを聞いて町人たちは意識を失っていく。
その中の一人の少女の口の中へ、さっきの変テコな生物が入っていく。
これが第8章の全容だ
あまりの意味のわからなさにこのエピソードでの脱落者が多いようだが、個人的には「こういうのを待ってたんだ!」というリンチの前衛性が前回の1話だった!
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